閑静な住宅街の中で街並みを壊さず、むしろ街とつながり溶け込む外観とするため、6戸の長屋建てであるにもかかわらず一軒の戸建て住宅のような趣とした。建物中央外部に中廊下を設け、各戸の玄関が中廊下に向かって並ぶことで外部からの視線を気にする必用がない。またこれにより入居者同士が顔を合わす機会が必然的に増え、小さなコミュニティとしての旧来からの「長屋」の復活も意図することができ、リアルでの「つながり」を得られる「場」を提供する建築でもある。
すっきりとした片流れ屋根が建物中央に向かって伸び、中廊下において寸断される。ちょうど寄棟屋根の戸建て住宅の中央に中廊下という空白の四角いスペースが挿入され壁や屋根が削り取られたかのようだ。遠景からはうかがい知れない大胆なプランが建物にある種の緊張感を与えている。
全体的に白色を基調とした内装とし透明感のあるインテリアデザインを心がけた。木製部分全てにはドイツ製の自然塗料を塗り、浸透性塗料独特の木肌面の潤いと入居者の安全性という二つの魅力を獲得している。なお、全戸に、1階の掃き出しサッシはシャッター付きサッシとし、カラーモニター付きドアホンを設置してセキュリティーにも配慮している。 |